小選挙区制は諸悪の根源

吉田 健一


最近、日本の政治の諸悪の根源は小選挙区制度にあると思う。そもそも 日本の政治風土、文化が二大政党制に向いてない。よく、比較される米 英と日本は全然違う。米英の表面だけみて、政権交代可能な二大政党制 を、などというのは、そろそろやめるべきである。米英と日本の違いは、そ もそも、国民間を二分するような価値観があるかないかだ。今の日本には、 誰の目にもはっきりと分かる、対立軸はない。

だからと言って、日本には、全く対立軸がないのか、というとそうではない。 はっきりと「二分」は出来ないだけで、いろいろな政治的・経済的・文化的 価値観が存在している。今は、これらが無理やり、二つのどちらかに身を 寄せている人々によって代表されているという感じだ。だから、双方にいろ んな思想が混在する。私は、個人的に中選挙区制の復活が良いと最近思 う。中選挙区に戻せば、穏健な多党制になるだろう。穏健な多党制によっ て、過半数を持つ政党が存在しなければ、世論の動向、政治状況によっ て連立政権の組み方が変わるという状況が、時々の民意を政権に反映す る一番良い(ましな)方法だと思う。

そもそも、政治的代表を選挙で選ぶとき、何を価値基準にするかは難しい 問題だが、私は一つの軸が経済(富の分配)に対する考え、もう一つが文 化(経済政策の根底にも文化あるが、ここでは、富の分配以外の問題)に 対する考えだと思う。新自由主義と社民主義とは経済体制、分配、社会保 障をどうするかの軸だ。しかし、政治とは経済政策・富の分配だけがテー マではない。外交にせよ、農業にせよ、家族制度にせよ、教育にせよ、ど れだけ、日本の文化を守るのか、また、そうではない価値観も導入し重視 するかという問題は必ずある。

多党制は政治が不安定になり、二大政党制は政治が安定するとしきりに 言われるが、多党制でもバランスの良い、連立政権が出来れば、政治は 安定する。政権交代も起こる。一方、形だけの二大政党なら、与野党がね じれれば政治は安定しない。中選挙区制に戻し、国内に存在する価値観 を出来るだけ、素直に代表する政党が存在できる政治制度を作ることを 強く提言したい。

 

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吉田 健一研究室