

私は、1955(昭和30)年鹿児島大学を卒業し、1959(昭和34)年に京セラを創業しました。1984(昭和59)年には、現在のKDDIの母胎となったDDIを創業しました。また、2010(平成22)年には、政府の要請により、日本航空会長に就任して、同社の再上場、及び再建を果たすことができました。幸運なことに、現在では3社とも、日本を代表する企業として高く評価されています。
鹿児島大学を卒業後、まさにゼロから出発した私が、技術者として、また経営者としてこのような実績を生み出すことができましたのは、鹿児島大学における先生方の素晴らしいご指導の賜物であると、私は心から感謝しています。
その私の母校に、「稲盛アカデミー」が発足しました。私も常日頃より、日本経済の活性化のためにも、鹿児島から熱意溢れるリーダーが輩出してほしいと考えていましたので、心より支援させて頂いております。
この「稲盛アカデミー」にて学んだ若者達が、ベンチャー精神に燃え、素晴らしい社会のリーダーになっていかれますことを、そしてまた、鹿児島大学の名声をさらに高めていかれることを、私は心から期待しています。
(2022年8月24日逝去)
稲盛アカデミーは鹿児島大学が誇る偉大なる稲盛和夫名誉博士(昭和30年工学部卒業)の哲学・経営哲学(稲盛フィロソフィ)をコア・バリュー(基本価値)に置き、これに基づく教育研究と社会連携・地域貢献に努めます。稲盛フィロソフィは組織を動かす経営哲学であり、また個人や社会を動かす社会哲学でもあります。その学術的な探究とこれを基盤とした教育及び社会貢献は「進取の精神」の涵養という鹿児島大学の基本理念に通底します。
こうしたミッションは、内向けプログラムとして、鹿児島大学の全学生が受講する「稲盛フィロソフィ」講義とそれに関連する「共通教育科目」の提供、学外向けプログラムとして、社会人を対象とした履修証明プログラム「稲盛経営哲学」の開講、学内外に向けた稲盛アカデミー・シンポジウムの開催、また「稲盛アカデミー研究紀要」や稲盛研究を中心とした「稲盛アカデミー叢書」の刊行などの事業を通して、その実現を目指します。
稲盛アカデミーでは「人間教育」、「経営教育」、「地域・国際連携」の3部門に部門長・教員が配置され、特任教授2名と特任専門員2名を含む8名と、客員教授7名による体制が整っています。これにより、履修証明プログラム「稲盛経営哲学」のさらなる拡充、稲盛アカデミー・プロジェクト研究の推進、海外研修の実施や受入れなど、新たな事業にも取り組みます。大学・各部局はもとより、京セラ株式会社、公益財団法人稲盛財団、立命館大学稲盛経営哲学研究センター、鹿児島盛経塾、履修証明プログラム「稲盛経営哲学」の修了者を中心に組織される「稲盛アカデミー倶楽部」会員、そして鹿児島県及び関係機関によるご支援と連携・協働によりアカデミーのミッションを果たしていきます。
山口 明伸(稲盛アカデミー長・理工学域工学系教授)
稲盛アカデミーは、その前身として設置された「稲盛経営技術アカデミー」の設置から数えて、ちょうど20年となりました。人間に例えれば成人になったこの節目のタイミングで、稲盛アカデミー長という大役を拝命いたしました。稲盛和夫名誉博士のご寄付によって設立され、稲盛フィロソフィを基本理念とする本アカデミーは、歴代のアカデミー長をはじめ、学内外の多くの関係者の皆さまのご尽力によって着実に成長・発展してまいりました。新たな体制となりますが、前アカデミー長が掲げたミッション・ステートメントをしっかりと引き継ぎ、これまでの経験と実績をさらなる挑戦と成果に繋げるべく、精一杯の力を尽くしてまいります。引き続きのご支援ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。