秩序と無秩序

吉田 健一


秩序ある社会と無秩序な社会、どちらが良いでしょうか。こういう言い方をす ると大抵の人は秩序ある世の中が良いと言うと思います。世の中・社会全体と いう大きなものではなく、身近な組織でも人間関係でもやはり秩序があるの方 が無秩序状態よりも良いでしょう。国際社会で戦闘が起こると、必ず「国際秩 序の回復」というような事が言われます。

しかし、実は「秩序」という事をもう少し考えると、必ずしも秩序ある状態が 良く、無秩序状態が悪いとは言えないのではないでしょうか。また、万人にと って、あるいは国際社会であれば、どの国にとっても秩序ある状態が望ましい とは言えない気もします。何故ならば、その秩序そのものが、誰かにとっては 都合が良く変えたくないものであっても、他の誰か、または多数にとって不都 合であったり、苦しいものである事もままあるからです。

荒れている世の中か、安定した世の中か。それは勿論、安定した世の中の方が 多くの人にとって良いでしょう。しかし、流動的な世の中か固定された世の中 かどちらが良いでしょうか。社会が固まっており、流動的な要素がない方が良 いと言う人も多いでしょう。しかし固まり切った決まりや慣例や人々の意識が、 一部、または多くの人々の犠牲や我慢の上になりたっている時、そのような固 定された社会は良い社会とは言えないのではないでしょうか。

改革が叫ばれる時代というのはある意味で、それまでの秩序が機能しなくなっ た時代か、機能していても、秩序自体が多くの人々の不幸につながっている時 代ではないかと思います。秩序は確かに大事ではあります。しかし、固まり切 った社会が必ずしも良い社会なのではありません。「安定=固定」ではなく「 流動的=荒れた状態」ではないと思います。このあたりのバランスをどう判断 するのか。一人一人の国民が考えなくてはならない時代ではないでしょうか。

 

*サイト上の文章及び写真、または紹介する著作物の内容は、如何なる理由を問わず、転用・転載・引用等は著作権侵害に付き、堅く禁じます。


万一、無断転用、転載、引用等が判明した場合は法的措置を取らせて頂きます。 
また、無断転用、転載、引用をした方が、学術機関におられる方の場合は、所属長、指導教員、上司などに必ず報告を致します。


院生等の方が、学位論文作成に関して、無断転用、転載、引用をされた場合も同様に致します。 不正が認められた時は、 ご本人と、その方の指導教員・上司等に当たる方からの文書による謝罪を求めます。

吉田 健一研究室