教員の採用後にこそ研修の充実を
吉田 健一
最近、ショッキングな記事を読んだ。5月1日付の『読売新聞』朝刊によると、
全国で指導力不足と認定された公立の小中高校教員が481人いるという。この数
字をどう見るかは難しい。多いのか少ないのか。全国の教員全体からみると20
00人に1人という事らしい。少ないと思えなくもない。しかし、文部科学省は実
際にもっといると見ている。今後の益々増えるという見方をしているのだ。
不適格と認定された教員の例として、音楽教師でありながら楽器が演奏できな
いというのや、英語教師でありながら英会話が出来ないというものが挙げられ
ていた。また、「しんどい」という理由で担任を返上したり、生徒へ暴言・暴
行を繰り返すという例もあった。余程ヒドイ人だけが認定されたのか、認定さ
れていないが「似た」水準の教員も多いのか…?記事だけでは分からない。
何をもって「不適格」かという事も詳しく考えると難しい。私は2種類の「不適
格」があり、更に1つの方は2つに分けられる気がする。1つは能力的なものであ
る。これは、音楽教師でありながら楽器が演奏できないという類のものである。
もう1つは人格的な部分の不適格者でこれに2種類あると思う。普通の社会の常
識的な感覚で、そもそも適正を欠く人間性としか思えないものが教師になって
いる場合と本来的に意欲もあり、かつては「適格」だったにも関わらず、状況
や子どもの変化により「不適格」と見なされる状態になった人である。
問題は、後に「不適格」になってしまった人をどうするかだと思う。しばしば、
採用時にどういう人材を選ぶかが議論になるが、私は現実に今、教員である人
の再教育研修にこそもっと力を入れるべきだと思う。いかにヒドイ教師が多い
とは言え、元々、どこから見ても「不適格」だった人ばかりが雇われていると
までは考えにくいからだ。現役の教員に絶えず充実した研修を施し、「不適格」
になってしまった人を「再生」させるという考え方こそが自治体や学校現場に
は必要なのではないだろうか。
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